介護専門職の仕事は、介護を必要としている人の自立を支援することです。
この自立とは「誰の世話にもならずに一人で生きる」ということではなく、「何事にも、自分の力で生きる努力」をしつつ、出来ないところは他の人の力を受けるという意味です。
介護をする際に胆に銘じておかなければならないのは、「介護される人の気持ちに寄り添う」ことです。誰でも「食べる」ことや「排せつする」という行為は人間の基本です。したがって、生きている限りは自力で行いたいと思っているものです。
突き詰めていえば「自立」というのは、可能なかぎり自分の力で食べる、排せつするというのではなく、自分で食べるか介助してもらうかを自分で選ぶことを意味しています。昨日は自力で食事をしたりトイレに行けたけれど、今日は疲れて身体が思うように動かないので、手助けをしてもらいたいと、「自分の意志で決める」ことを言うのです。このことを介護の支援を行う人は、忘れてはなりません。
支援を求める利用者たちの生活は一律ではないし、一日一日体調の変化があるのは当然です。毎日ルーチンワークのように、食事をベッドに運んだり、車椅子に乗せて食堂に連れてくるのは介護ではありません。自己決定を支えることに徹するということが、「助けて守る」という介護の基本理念だといえます。そうした理念を重視しつつひとりひとりを観察して支援の手を差し伸べていけば、専門職としてのやりがいが生まれてくるはずです。